あけましておめでとうございます。小川です。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、この年末年始に池井戸潤作品をいくつか読みました。「銀翼のイカロス(半沢直樹シリーズ)」「アキラとあきら」「陸王」。個人的には「経営とは何か」がテーマの一つになっているのではないかなと感じています。いずれも一見すると勧善懲悪的でドラマティックな感じがしますが(だからドラマになるのですかね)、経営者やそれを取り巻く人々の苦悩や思いが繊細に描かれており、経営ということに対して共感したり参考になったりすることも多いと思います。

その中でも「陸王」にはビジネスの基本について考えさせられました。つい先日までテレビドラマをやっていたので(ちなみに小川は最終話しか見ていませんが(笑))、陸王の内容は割愛しますが、有望株になっていく長距離ランナーの茂木選手が、中小企業のこはぜ屋と大手メーカーのアトランティスのどちらのシューズを選ぶのかというプロセスで、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」について非常に感じ入るものがありました。

そもそもこの2つの用語はマーケティング用語ですが、
プロダクトアウトは一般的に、「会社の方針や作りたいもの、作れるものを基準に商品開発を行うこと」と考えられています。主に商品(製品 あるいはサービス)を作ってから、どのように販売していくかを考えるスタイルです。
マーケットインは一般的に、プロダクトアウトとは反対に「顧客の意見・ ニーズ を汲みとって製品開発を行うこと」と考えられています。主に何を提供するのかを考えてから商品を作ることを考えてくスタイルです。
この2つの視点を掛け合わせて顧客や市場へのアプローチしていくことがビジネスを成長させることにおいて重要です。この2つの視点の使い道を誤るといくら良いものを作っても相手に受け入れられません。

「陸王」において茂木選手へのアプローチは結果として、アトランティス社はプロダクトアウトの視点が強すぎた、こはぜ屋はプロダクトアウトとマーケットインの2つの視点をうまく組み合わせることができた、といえます。アトランティス社はうちのシューズは良いものだから使えよ、ともいえる態度に終始していました。一方、こはぜ屋は茂木選手の課題をリサーチし解決できるシューズを用意し、応援をしているという姿勢を終始示しました。この2社の姿勢の違いが、結果に大きく影響を及ぼしました。「陸王」では茂木選手は揺れ動きながらも最終的に中小企業のこはぜ屋のシューズを選択しています。
「真に自分ためにの役に立つものを用意してくれたのは誰なのか」という観点が結論に大きく影響を与えたと推測できます。それは、相手のことや取り巻く環境までしっかりリサーチし(マーケットイン)、それに役立つものとして自社で提供できる最高のものを用意する(プロダクトアウト)、という戦略に終始したこはぜ屋の勝利と言えます。

相手が、個人だろうと、中小企業だろうと、大企業だろうと、ビジネスは最終的に「人」が相手です。相手のことをよくわかった上で自分が用意できる最高のものを提供する、そこに付加価値が生まれる。それがビジネスにおいて大変重要であるということを再認識できました。それはビジネスだけでなく、物事を円滑にすすめるための基本ですね。いくら自分が良いと思っても、相手にとって不必要ものはいくら説明しても受け入れられません。ビジネスにおいては、いくら自社が良い商品(製品 サービス)だと言っても、相手(顧客、市場)が不必要と思えばいくら値段を下げても売れません。
逆に相手が必要だといっても、それが本当に必要なのかを検証することも重要です。相手の要求するものをただ用意するのでは、マーケットインでもプロダクトアウトでもありません。ただの「言いなり」です。そのようなものに付加価値は生まれません。

「陸王」を始めとした池井戸潤作品を読んでいると、仕事や日常生活において考えさせられることが多々あり、大変勉強になりました。
今後は「プロダクトアウト」と「マーケットイン」の2つの視点を常に持って物事を円滑に進めていけるようになりたいものです。