管理会計のドア2024.1.24 税理士法人SHIP 鈴木 克欣

皆さん、こんにちは。
税理士法人SHIP代表の鈴木です。

現在、書籍出版の準備を進めています。
内容は「管理会計」です。

まだまだ、管理会計というキーワードを出すと・・・
「よくわからない」
「なんだか難しそうだ」
と言われます。
世の中のそんな声に対して、管理会計をわかりやすく伝えるための本になります。

「管理会計を行う目的」は、企業の今の状況を把握し、これからの目指したい方向に企業を誘導することです。

管理会計は“自由”です。
基本的には、自社のために管理する会計になりますので、自社の中でルールを決めて、実行していけば良いと僕は考えています。

試算表には何がありますか?
・損益計算書
・貸借対照表
・キャッシュフロー計算書
ですね。

さらに、わかりやすく理解するためのグラフであったり、前期比較などがあるのではないでしょうか?
今、手元にある情報は「企業の今の状況を把握する」ための材料です。

では、分析はできていますか?

現状を表す材料はある。
でも、分析はなかなか難しい。
・売上がなぜ減っているのか?
・売上が増えているのに、なぜ利益が出ないのか?
・利益が出ているのに、なぜ資金繰りが良くならないのか?
・いったい、どれだけの売上を出せばいいのか?
つまり、どの部分が良くて、どの部分が悪いのかがわからない。

SHIPでは、毎月の月次決算で上記のポイントを明確にします。
企業の「今の状況」をはっきりとすることで、どこへ進めばいいかの答えが出ます。

まず、管理会計の入口に入ってみませんか?
「管理会計のドア」の開け方をお伝えします。

手元に損益計算書をご用意ください。
あとは、赤と青のペンの準備をお願いいたします。

1 「売上高」はスルーします。
2 「売上原価」の中には何が含まれていますか?
 仕入高や外注費の下に、赤色のラインを引いてください。これらは、売上が増えたら増えますよね?
 売上が減ったら減りますよね?他にも同様に、消耗品や運賃など売上に連動する科目に赤色のラインを引いてください。
 「金額が少ないものは無視」してOKです。金額が多いか少ないかは、経費の他の科目と比べながらの個人的な判断で良いです。
 赤色のラインを引いた科目は、「変動費」になります。
3 「人件費」に青色のラインを引いてください。
 役員報酬・給与・賃金・賞与・法定福利費・福利厚生費・人材採用費・教育費・・・など「人」に関する科目は青ラインです。
4 次の順番で集計してみてください。
 ・売上高
 ・変動費
 ・人件費
 ・その他の経費
 ・雑収入
 ・経常利益

僕は、上記の集計した数字をエクセルに入力しますが、ノートに書いていただいても全然OKです。
これで、分析のための準備が終了しました。
皆さんが集計したものは、「変動損益計算書」と言われるものです。
分析のためには、「変動損益計算書」が必要なんです。

では、「分析」を始めますか?
【管理会計の分析編】
1 変動費は売上高の何%ですか?・・・(計算式)変動費÷売上高
 これを「変動費率」と呼びます。
2 売上高から変動費を引いてみてください・・・(計算式)売上高-変動費
 これを「限界利益」と呼びます。 
3 人件費は限界利益の何%ですか?・・・(計算式)人件費÷限界利益
 これを「労働分配率」と呼びます。
4 人件費とその他の経費を合計してみてください・・・(計算式)人件費+その他の経費
 これを「固定費」と呼びます。

(損益分岐点売上)
皆さんの会社は利益が出ていますか?
どれだけの売上を出せば利益が出るのか、計算してみましょう。
(計算式)固定費÷(1-変動費率)
上記の計算で求められるのは「損益分岐点売上」です。
損益分岐点売上を現在の売上高が超えれば利益が出るラインになります。
この損益分岐点売上ラインは上にも下にも動きます。

・たとえば、固定費の金額が年間300万円減少したらどうなるでしょう?
固定費を300万円減少させた数字で「損益分岐点売上」を再度計算してみてください。
・たとえば、変動比率が2%下がったらどうなるでしょう?
変動費率を2%下げた数字で「損益分岐点売上」を再度計算してみてください。

いかがですか?
超えなければならない売上高が下がりましたか?
損益分岐点売上のラインが下がれば下がるほど、利益が出やすい体質になります。
ドアを開けた後は、もう一歩中に入って、変動費率をどうやって下げるか?
固定費のなかで削減できるものがあるかどうか?
時間をかけて考えてみてください。これが「経営を考える時間」になります。

(労働分配率)
さらに、もうひとつ。
上記で計算した労働分配率は、何%でしたか?
同様に過去の決算書でも同じ計算をした場合、労働分配率は上がっていますか?下がっていますか?
過去3年から5年ぐらいは横に並べて、確認してみてください。
ほとんどの企業が、「労働分配率」が年々上昇していると思います。
労働分配率が上がると、働いてる人たちの生産性が悪くなっていることを意味します。
つまり、労働分配率が上がると、利益は減るんです。
まずは、60%まで下げる必要があります。もし、労働分配率が70%を超えていたら、赤字になっているはずです。

・たとえば、変動費率が2%下がったら変動費はいくらになりますか?
売上高は今のままでOKです。限界利益(売上高-変動費)はいくらになりますか?
この限界利益を使って、再度「労働分配率」を計算してみてください。
人件費はそのままでOKです。
「労働分配率」が下がりましたよね?
働いてる人たちの生産性が上がったということは、利益が出やすくなるということです。

今日は、「管理会計のドア」から1歩進んだところのお話でした。
管理会計は自由です。自由に数字を組み合わせながら・・・
企業の「今」を分析し、どうすればもっと良い数字に届くのか?
を繰り返し行なっていくことになります。

これを繰り返して、どのポイントに注力していけば、
少しづつ、着実に数字が上がっていくのか?
・・というイメージを持てるはずです!
まずは、管理会計を思いのままに挑戦していただけたらと思います。

◆次回のSHIPカレッジは2月5日です・・・・・
第8回『管理会計の基本的な考え方』
SHIPカレッジ申込みはこちらから
https://www.ship-ac.jp/seminar/1163.html

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