企みベース2023.9.13 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文

皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリイエティブアローズの乳井です。
「中小企業の成長を本気で応援したい!」という想いで、書籍出版をさせていただきました。前回に続き、少しだけ内容をご紹介しようと思います。

是非本気で事業を成長させたいと願う経営者をはじめ、その成長を支えるパートナーの皆さまや、ブランディングについて深く知りたい、と考える方々の一助になれたら幸いです。

ブランドとは事業ストーリーである

ブランドづくりとは、企業あるいは組織や個人が推進する事業がどのような価値を提供し、共感を引き出しながらどのように成長していくのか、その事業ストーリーの全体をつくっていくプロセスです。最終的な成果物がさまざまな商品やサービスであり、それを市場に投入する際にストーリーを発信する手段がさまざまな広告物です。ブランドの幹になるべきなのは事業のシナリオです。ブランディングをやっているつもりでも、実際は広告物などだけにとどまっているのであれば、ただ外側の包み紙を替えたのと同じで、肝心の中身であるストーリーがありません。今、消費者が求めているのは、心から共感できる世界観やストーリーをもった事業、商品・サービスです。

ストーリーには商品やサービスの受け手にとっての個人的なストーリーも含まれます。商品やサービスを手に入れることで、どのような体験が生まれるかという話です。しかし私がブランドづくりの幹として必要だと考えているストーリーは企業や組織、個人をすべて巻き込んで展開していく、より大きな意味での事業ストーリーです。事業ストーリーというのはある商品やサービスが誕生することで、受け手側の個人の生活がどう変わるのかにとどまらず、事業が企業だけでなく地域や社会をどのように変えていくのか、すべてのステークホルダーを含んで描かれるものの全体像です。

① 例えばある地域の農業特産品を原料にした新たな飲料の開発に取り組んだとします。
② 成功すれば、新飲料は人々の暮らしに今までにない刺激と幸せな時間、新しいライフスタイルやコミュニケーションを創造します。
③ さらに販売の拡大=生産量の増加が工場の拡張や関連産業(原材料や機械設備、輸送など)の発展を促し、地元の雇用を全体として拡大します。
④ 原材料となっている農産物の生産増=農業の活性化を促すことにもつながります。
⑤ また、耕作放棄地や後継者不足問題の解決、就職の受け入れ先となる地元企業が育つことによる若者の定着化、人口減少や少子高齢化の進行の抑制、そして地域全体としての発展など、さまざまな課題の解決につながる可能性もあります。それは地元で創業し、事業を展開してきた経営者の夢の実現でもあります。

このような大きなストーリーを考えながら、ワクワクしない経営者はいないはずで、これこそ会社を立ち上げ、苦しい時期も乗り越えてきた経営者を勇気づけるに違いありません。私自身、経営者と突っ込んだ話をしながら、将来の構想が大きく広がり、面白くなって話が止まらなくなるようなことを何度も経験してきています。

もちろんこうしたストーリーを描いても、すぐにすべてが実現できるわけではありません。最初は夢物語のところも少なくないものです。しかし、ストーリーづくりの出発点ではそれでよいのだと思っています。むしろ大きく夢を広げるところに価値があるのです。

この当初はまだ夢物語でしかないものを、さまざまな分析に基づいたリアルな事業計画として具体化し、工程表を作って、いつ何をどこまで実現するかを決めて、さらに見直すタイミングとその際の判断基準を明確にしておけばよいのです。こうした事業ストーリーづくりこそ新たなブランド構築の第一歩なのです。

企業の本質価値を引き出す

企業が備えている本質価値は、経営者自身ですら発見していない、あるいは口に出して言語化していない場合も多いものです。本質価値とは、経営者自身がなぜその事業をつくり、あるいは創業者から受け継いで推進してきたのか、困難もありながらなぜ頑張ってきたのか、という経営者自身にとっての価値であり、そしてその事業、つまり商品やサービスがあることによって、世の中にどういう価値を提供しようとしているのか、それを通して世の中をどうしていきたいと考えているのか、といった、企業や事業の根底にある価値のことです。
そんなことは考えたこともないと口にする経営者もいるかと思います。しかし、単に言葉として整理していないということにすぎません。事業を進めるなかで、どういうときにやりがいを感じてきたのか、顧客のどういう反応がうれしかったのか、そして事業が壁にぶつかったときに乗り越えることができたのはなぜなのか、従業員にどうなってほしいかといった点を丁寧に洗い出していけば、何が本質価値であるのかは明らかになっていきます。

仮にこういう施策をしたい、こういう企画をやりたいなどという具体的なアイデアがあっても、すぐに制作に入るようなことはすべきではありません。そもそもなんのための事業なのかといったことをまず明確にしていく必要があります。事業ストーリーづくりで最も大切にすべきなのは、自社がなぜ世の中に存在していて何を成し遂げようとしているのか、世の中をどうしたいのか、という点を明確にすることです。そこに貫かれた思いこそその企業、組織、個人の本質価値であり、ブランドのコアになるべきものだと思うのです。

企みベースで未来の社会を妄想する

具体的な事業ストーリーを実際にどのようにして構築していくのかの全体プロセスはアナリティカルフェーズとプランニングフェーズ、クリエイティブフェーズ、オペレーショナルフェーズという4つのステップに分かれます。これらのプロセスに入る前に手掛けるべきことがあります。それは事業ストーリーのすべてを貫き、常に事業のなかに維持されるべき使命や理念の明確化ということです。事業を通して何を実現するのか、最終の目標を明確にすることであり、4つのステップに取り掛かるための前段階、いわば0番目のステップです。
そのアプローチには2つの方法があります。1つは企みベース、もう1つは課題ベースです。

「企む」とは広辞苑によれば、〔悪いことを〕くわだてる。計画する、とあります。悪巧みのような言葉もありますから確かに否定的な語意が込められているのかもしれませんが、私が企みという言葉で示したいと思っているのは、相手を自分の望んでいる方向にもっていったり、事をうまく成し遂げたりするために策を用いるということです。悪事を成せと言いたいのではありません。自分が何をするかではなく、世の中全体を広く視野に入れ、仕掛けをしてその全体を動かそうということです。自社や自社商品をどうするという狭い視点ではなく、自分たちのもっている本質価値に社会課題や地域課題、事業課題、人、商品、グローバル企業の先端事例やトレンド情報というさまざまな企みの素を掛け合わせ、今までにない豊かな社会を築いていく。いい意味で大いに企んで、希望のもてる社会をつくろうというのが企み思考です。

対極にあるのが課題ベースの思考です。課題ベースは、現状の課題解決からスタートして成長を実現しようという考え方で、その課題の解決だけを目的に進めていくものです。どのようなアイデアもあらかじめ設定された課題という枠を超えることはありません。結局、課題ベースのアプローチはすでに見えている問題の改善であり、ビジョンをもったストーリーをつくることができません。そもそも現状の問題点を見つけ、解決すべき課題としてとらえてさまざまな対策を打っていくという課題ベースのアプローチは楽しいものではありません。一つの課題を克服してもまた次の課題が見えてきます。ここがだめ、ここがうまくいっていないと、延々とマイナスのことを探し対策を考えていく作業の繰り返しでは誰もが疲れてしまいます。確かに変えていかなければならないことはあります。しかし、下を向いてそればかり探してもモチベーションは上がりません。上を向いてアプローチをすることが必要であり、事業ストーリーの創造につながっていきます。これが企みベースであり、これを導くために有効なのがバックキャスティングの取り組みです。

【こんな方に読んでいただきたい】
✔ 事業の維持や成長を真剣に考えて、策を模索している中小企業経営者
✔ クライアントの事業成長に真剣に取り組むパートナー
✔ ブランディングの本質を理解したい方

amazonサイト
https://www.amazon.co.jp/dp/4344947185

企み思考を障壁無く最大化するためには、その企業が「冒険できる状況にある」ことが大前提となってきます。この冒険できる状況とは、企業の経営状態が正常であるという事。つまり財務面に不安が無く、経営者の心にゆとりがある状況や、そうなる見込みが短期的にある状況です。私も含め、今まで歩いたり、走ったりして進めてきた事業の成果は、その殆どが数字というカタチで評価されます。その数字の力は絶大で、金融機関や与信調査の信用を獲得するだけでは無く、会社全体の空気感を醸成する素となります。

そのためには、経営者の痒いところに手が届く、不安を一蹴してくれる財務パートナーが必要不可欠です。財務面で不安を抱える方は是非、SHIPの鈴木先生へご連絡ください。

SHIPお問い合わせ
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