新規事業は共創で加速する|2/3|2022.5.25 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文

皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリイエティブアローズの乳井です。
前回に続き、昨年度から取り組んでいる私自身とクライアントの共創ストーリーについてお話してみたいと思います。

前回はブランド名が「CRAZY CIDER」に決定した、というお話をしました。今回は決定までの道筋をお話したいと思います。私は、タグラインや商品名を検討するにあたり、M代表とその事業のことを深く考察しコンセプトの種を探していきました。例えば、M代表は起業前は地元有力企業の取締役でした。ホテルや不動産、住宅メーカー等、多角的に展開する勢いのある企業でした。しかし、年齢を重ねるたびに想いが募り独立。廃業寸前の温泉施設を買収し、ほぼマイナスからのスタートだったそうです。しかも縁もゆかりも無い土地で。そこから、温泉施設のコンセプトや設備を一新し、今では早朝から駐車場が車で溢れる繁盛店にまでなりました。そんな功績を頼りに、県内の複数施設からコンサルティングの相談が舞い込み、多忙な日々を過ごしていました。今では温泉だけでは無く、他業種からの引き合いも多いようです。
「M代表は何故見ず知らずの地で、しかも全く経験値のない事業をはじめたんだろう?何故??」
単純にそう思いました。しかし、しばらく話を聞いていると「なるほど」というポイントが見えてきました。

✔その地域では全世代で温泉好きがとにかく多い(文化が根付いている)
✔近隣に競合は少ない
✔青森県内で3番目に人口が高い弘前市に隣接、車で15分圏内

そして何より、

✔産業は、ほぼ1次産業である
→→→ つまり製造業やサービス業が少ない
→→→ 地域での雇用は少ない

少なくとも、きっとこういった考えがあったはずです。つまり、都市圏から15分圏内で、市場ニーズがある温泉事業、ここで事業を成功できれば雇用も生み出すことができ、事業としても大きな話題化を生み出すことができる。何より、地域を豊かに元気にすることができるはずだと。
そこからは、きっと無我夢中で取り組んで来られたのだと思います。そんな経歴を持つM代表が立ち上げる新ブランドです。M代表らしいブランドの人格を一言で言い当てる表現は無いかと思考を重ねていきました。そこで思いついたのが「何にでも夢中な人が生み出す、誰もが夢中になれる事業」という、イメージでした。そのイメージをベースに「夢中になる」というワードを変化させていきました。そこで生まれたブランド名が「CRAZY CIDER(クレイジーサイダー)」です。

また、タグラインは、M代表が同ブランドを立ち上げる際の心境と重ね合わせ、「はじける果実に、夢中になる。」としました。ハードサイダーのドライな飲み味やスパークリング感をイメージしながらも、ブランド名のCRAZYが変な誤解を生まないように、英訳の補完要素も期待してのことでした。
ここまで対話を重ねて、事業の人格は共通認識となり、コンセプトや方向性が大分固まってきました。ここで重要な事は「人格創り」です。人格がブレさえしなければ、その先の枝葉となる取り組みはいくらでも軌道修正できてしまうからです。人格がブレていては、どんなに労力を掛けても良いものはできないのです。

コンセプトが固まった後は、いよいよVI計画(ビジュアル・アイデンティティ)です。まずは、商品の顔となるパッケージをベースにブランドロゴの開発に着手します。ブランドの人格は定まっているので、あくまでもその人格が打ち出しそうなテーマでのデザイン開発です。M代表はとてもモチベーションが高く、皆から愛される存在です。そこで、新しいブランドのデザインテーマとして、

①地域の仲間とともに、情熱をもってつくりあげていく「チーム感」
②素材や製造工程に夢中になってこだわっていく「クラフト感」
③新しいブランドだけれども、ずっと昔からあったように感じる「本物感」

こんな感じで、テーマごとに複数デザイン案を用意し、打ち合わせでイメージを深堀していきました。また、当時私には懸念事項がありました。それは、その地域はもともとシードル造りが盛んであったこと。多くの新興ブランドが乱立していること。そうです、一番の懸念はそれらと同等の認知・理解をされることにより、埋もれてしまう事でした。そこを考慮しながらデザインのストーリーを組み立て、形にしていきました。最終的にはM代表の社内で投票をしてくださり決定に至りました。こういう取り組みの際に、社員を巻き込むことで社内に一体感が生まれ、モチベーション向上にも寄与するのだと思います。決定後は、迅速に、精密にデザインを作り込んでいきます。弊社内に沢山のシードルが並びます。実際にデザインしたラベルを貼ったサンプルと一緒に並べてみて、売り場のイメージをシミュレーションしながら改善を繰り返していきました。こうやってロゴマークができ上がっていきました。

ここからは、VI全体の計画に進んでいきます。新しいブランドを市場に、魅力的に届けて共感も持っていただくことが目的です。その魅力はブランドの意図しない方向への解釈がなされないように、かつ多少の遊びを残して設計していきます。ブランドサイトやブランドムービーを中心に、世界観をビジュアルで創っていきます。

デジタルコミュニケーションが主流の今、その分野で悩みや課題を持つ企業も少なくないと感じています。しかし良く考えてみてください。デジタルコミュニケーションは情報を届ける手段であって目的ではありません。一番重要なことは、そのブランドがどのような魅力的なメッセージを放つか、です。御社のブランドメッセージは如何でしょうか?VIはしっかり考えておりますでしょうか?中小企業が主役の時代、是非とも取り組んでいただきたいテーマだと考えています。

ご要望がございましたら、SHIPの鈴木先生までお気軽にご相談ください。

株式会社クリイエティブアローズ

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