02 中小企業こそ顧問弁護士が必要!2023.4.25 弁護士 山口 智寛

こんにちは、弁護士の山口智寛です。このBLOGでは、主に会社を経営されている方向けに、弁護士の目線から見た経営を強くするための方法や考え方を取り上げています。今回のテーマは、中小企業こそ顧問弁護士が必要!というものです。

「うちみたいな小さい会社には弁護士に相談することなんて無いよ」
「顧問弁護士が必要なのは大きな会社でしょう」

このような考え方は大きな誤解です。顧問弁護士不在の状況で会社を運営するのは、言わば、方位磁針も救命胴衣も持たずに海でボートを漕いでいるようなもので、いつ遭難して命の危険=事業継続の危機に晒されてもおかしくない状況にあると言っても過言ではありません。そのように言える理由は、以下の3点です。

(1)中小企業は常に法的リスクにさらされている
大きな企業にはしっかりとした法務部門があり、法的問題を未然に防ぐことができるようチェックを施しています。いざ法的問題が発生したとても、ある程度社内で対処できるだけの人員、体制を整えています。経費を投じて、リスクに対する事前・事後の対応策を講じているわけです。

ところが、中小企業ではそうはいきません。契約処理、労務人事、債権債務関係・・・一筋縄ではいかない法律問題について、経営者や担当者が誰にも相談できないまま一人で抱え込んでいることが多くあります。リスクに対して完全に無防備で、それどころかリスクの存在に気づいていないこともあります。そして、ひとたびトラブルが発生すれば、事態は容易には解決せず、経営者や担当者は対応に追われ大混乱に陥り、とても経営に専念できる環境ではなくなってしまいます。

このような法的リスクを回避して安心して本業に専念できる体制を整えるためには、大企業の法務部門の役割を弁護士に依頼することが最も効率的です。これが、中小企業にこそ顧問弁護士が必要な最大の理由です。

(2)トラブル対策の最善策は事前にトラブルを回避すること
具体的な法的トラブルが発生したときに弁護士に相談するというのは、納得できる話です。しかし実際は、どれほど有能な弁護士であったとしても、一度発生してしまった問題を事後的に解決することはそう容易ではありません。大変な時間と労力を要して対策を施し、それでもなお問題解決が一向に進まないということも多々あります。

トラブル対策の最善策は、事態を発生させないようにして未然に防ぐことです。事前の防止策に注意を払っておけば、発生してしまったトラブルを解決するために事後策を講じる場合と比較して、圧倒的に少ない労力で大きい成果を獲得することができます。ほんの少しだけ相談をしておくことで、その後の何ヶ月、何年にもわたるトラブルを未然に防ぐことができ、コストもかからずに済むというわけです。

そして、この「トラブルを発生させないようにすること」こそが、顧問弁護士の腕の見せ所です。どこにトラブルの芽があるのか、それがどのような顛末を招くものなのか、改善策は何かということは、法的知識と比較対照事例が頭に入っていなければ、なかなか有効な手立てを講じることはできません。まさに、弁護士の専門能力が問われる局面、中小企業が顧問弁護士に依頼して真っ先に取り組むべき要点と言えます。

(3)いざという時に弁護士を探すのは難しい
問題が発生したときに適切な弁護士を探すことは、なかなか難しいことです。インターネットなどで弁護士の候補を探しても、弁護士は日常業務でスケジュールを埋めてしまっていることが多く、緊急対応をお願いするのはそう簡単ではありません。運良くスケジュール調整が上手く行って相談時間を確保してもらったとしても、その弁護士が適切に問題を解決できる能力があるかどうか、会社との相性はどうかといった点はわかりません。

また、仮に弁護士の資質に問題がなかったとしても、その弁護士に対して会社の状況から依頼事項に至るまで一から説明をして事案を理解してもらうことがまた一苦労です。緊急事態に直面してまず初動対応をどうすれば良いのか助言が欲しいのに、適切な助言を得る前段階の状況説明や趣旨説明といったプロセスでつまづいてしまうのです。

この点、もし顧問弁護士がいれば、顧問弁護士は会社の実情も良く知っていますし、既に会社との間で十分な信頼関係を構築していますので、初動段階で迅速に助言を得て一早く不安や混乱の拡大を抑えて対応策を講じることができます。

以上、中小企業こそ顧問弁護士が必要である理由を3つの点から整理しました。いざというときに会社を守る存在、それが顧問弁護士であるということがおわかりいただけたかと思います。

それでは、どのような弁護士に顧問を依頼すれば良いのでしょうか。この点については、次回「弁護士の選び方、良い弁護士の見分け方」というテーマでご説明したいと思います。

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