クレームを財産と捉えるマインド2022.9.7 税理士法人SHIP 鈴木 克欣

皆さん、こんにちは。
税理士法人SHIP代表の鈴木です。

先日、ゴルフ場に行った時の話です。
僕はそのゴルフ場の会員ではないのですが、「◯◯さんのご紹介の鈴木さんですね」と声をかけられました。
以前、行った時に確かに◯◯さんに紹介してもらって行ったのですが、
あえて、声をかけてもらうと悪い気はしないですよね。

逆に、取引先企業の担当者に伝えていることが、同じ企業なのに上司や別の担当者は全く知らなかった。
・・・なんて事の方が多いのではないでしょうか?

では、皆さんの会社では、ちゃんと「顧客情報」は共有されていますか?

残念ながら、会計事務所業界では全くと言っていいほど共有されていません。
相変わらず、この業界では、1人の担当者が数社のクライアントをもち、
そのクライアントからの相談内容や業務内容はその担当者しか知りません。
いわゆるブラックボックス化しています。
報告書や日報でさえも作成していないかもしれません。

現在、世の中には様々なアプリやシステムが存在し、
ITを活用すれば顧客情報を蓄積していくことはそれほど難しくないはずです。
それなのに、顧客情報が共有されないのはなぜか?

「顧客情報」というリソースが、すっごく重要だという認識がないからです。
「顧客情報」という”財産”が企業にとって重要だからこそ、
他のスタッフとも共有しなければならないという認識がないからです。

例えば、創業50年の企業があり、その昔、父親がその会社の顧客だっとします。
息子からその企業に問合せがあった時に、「お父様は△△を購入されていますね」と対応されたらどうでしょうか?

例えば、顧客が会社に突然、車で来社された時に担当者が不在でした。
受付や他の担当者から「□□様、いらっしゃいませ。本日は担当の▲▲が不在ですが、
先日ご相談のあった件でよろしいでしょうか?」と対応されたらどうでしょうか?
この会社は車のナンバーを顧客情報に入れていたため、すぐに□□様と認識できたようです。

『顧客接点』という考え方があります。
顧客接点とは、企業や店舗が顧客と関係を持つ場所や手段のことです。
顧客接点は、よく新規顧客獲得に使われがちですが、既存ユーザーとの接点の蓄積が重要です。

顧客接点の積み重ねが顧客データベースとなり、企業の未来やこれからの方向性を考える上で
顧客データベースは重要な財産となります。
いまでは、ITの活用によりデータベース化はそれほど難しくはない時代となりました。
まずは、シンプルに「顧客の要望やクレームを仲間と共有する」と考えてみてはいかがでしょうか?

この”共有”を進めていくことは、なかなか難しかったりします。
自分自身の業務をオープンにし、自分自身の考えをオープンにし、ミスでさえもオープンにしていく。
いかがですか?「それは難しいな・・・」という声が本音ではないでしょうか?

たとえば「クレームを共有する」。
以前にも書いたように「多くの日本人が失敗を過敏に怖がっている」ため、
「クレームを共有する」ことが実現できず、一緒に働く仲間にさえも伝えることができない。
そのため、オープンマインドという言葉は聞いたことがあるけど、
自分ができているかどうかというと、いつまで経っても出来そうにない。

SHIPでは、クライアントからのクレームは”最重要項目”として共有しています。
組織として、クレームは重要なリソースとして共有することを「定義」しています。
一番難しいクレームの共有から始めることで、要望や相談内容を共有していくことがスムーズになります。

ここまで伝えてきて見えてくるのが、「顧客情報」の共有には組織の覚悟が必要だということです。
顧客情報には良い項目も悪い項目も含まれます。どちらかというと、悪い項目が多いかもしれない。
これらの情報をテーブルにどんどん出していった時に、それらを受け入れる「覚悟」が必要です。
中途半端な覚悟だと、「なぜこんなミスをしたんだ!」とスタッフ個人とミスをつなげて指摘してしまうでしょう。
指摘されたスタッフは、またクレームを隠すようになっていきます。

良い情報も悪い情報も、企業のこれからを創る「重要な財産」です。
そして、この「重要な財産」が未来の組織をより良くしていくと定義することで、
顧客情報の蓄積スピードは加速していきます。

「クレームの共有」がオープンマインドの入口です。
まずは、隣の仲間と勇気を出して共有してみてはいかがでしょうか?
カッコつける場所は、そこではないはずです。

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