地域創造2023.4.19 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文

皆さん、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリイエティブアローズの乳井です。
今回は、最近私が取り組んだ案件をテーマにお伝えしようと思います。

「地域課題を、どうやって解決するか?」

ある日、とある知人を介して相談が入りました。舞台は青森県つがる市。ご存じの無い方も多いと思いますが、青森県の中西部に位置する街です。主要産業は農業、人口3万人の小さな街は、新しい事業に果敢にチャレンジしながらも、深刻な課題に直面していました。

「少子高齢化問題。」

農業が盛んなこの街では、農家の高齢化や後継者不足が深刻な課題となっています。特に地方都市ではその進行速度も早まり、早急な対策が必要だと考えられていました。また、1次産業が主体で、食品の加工や製造を行う2次産業の発展が乏しいことも要因です。例えば自慢の農産物を加工して姿・形を変え、新たな商品として販売する、といった価値創造も困難な状況といえるからです。

実は、相談を受ける時点で、何となくではありますが新たなスイーツブランドを立ち上げたいという希望は伺っていました。また、それを販売する場所も大枠ですが準備はされていました。諸般の事情で、開店までの期限は約3カ月。

さぁ、どうしよう?

まずは、これらの課題を解決する糸口を見つけるために、迅速に多面的に思考を巡らせる事にしました。商品の開発についても、東京都内のスイーツ開発が得意な企業と打ち合わせをし、解決の道を探りました。打ち合わせを進めるほど想像以上に本事業のハードルが高く、例えばケーキ等のジャンルでは売れない場合に大量の廃棄ロスが生じる事実を目の当たりにする事になりました。暗礁に乗りかかりました。

発想を転換しよう・・・。

当初は、「地方の新鮮な農産物 × 東京の先端スイーツ = 新しい価値のあるスイーツ」という発想でした。恐らく多くの取り組みはそうでしょう。しかし、それが難しいという事が発想の転換に繋がりました。

この事業の目的を社会的に再定義してみよう。
思考のレールを切り替えたとき、新たなストーリーが見えてきました。本事業の取り組みで生まれる、知見やノウハウ、商品の売上、これら全てが地方に還元されるべきでは無いかと。そこでスイーツの開発をサポートしてくれそうな地元企業へアプローチし進める事にしました。商品開発時は、要約しますが以下の条件を満たす事としました。

1,地元のブランド農産物を活かす
2,短期間で高品質の開発が可能なジャンル
3,脱食品ロス
4,地元で生産しても流通に乗せやすいもの
5,ターゲット世代のニーズに合致するもの

上記を全てクリアするスイーツを複数模索した結果、「ジェラート」という結論に達しました。地元のブランド農産物である「ナガイモ」を活用し、濃厚でねばりのあるベースミックスから着手。100種以上のバリエーションを1週間で開発しました。さらに、農産物を活用したフレーバーを開発。この期間はまるで真っ暗な深海に潜水し、もがきつづける、そんな感覚がありました。そして初回生産分を6種に絞り込み要約完成。納得のいくスイーツが完成しました。

もちろん、商品開発だけを行っているのではありません。スイーツブランド事業の事業計画や、ブランド名、ロゴを開発し、商標登録も同時並行で進めていきます。そして、なんといっても本事業で最もこだわったビジネスモデルは、「地元で生産し、東京で販売する」です。そうする事で、地元に工場が必要となります。2次産業が乏しい街に、とても小さい工場ではありますが、価値創造の拠点が誕生しました。その工場を起点に、雇用を創出し、事業を成長させていく。ブランドのコアにあたる領域を全て地元に集約することで、様々なノウハウが蓄積し、価値創造ストーリーのスタートラインとなります。そうです、本事業の究極の目的は、地域発展の新たな成長ストーリーを生み出す事です。今までやりたくても出来なかった事を実現させる事にあるのです。

また、出店場所の特性上、かなり突き抜けたブランド戦略が必要である事も当初より理解しておりました。ブランド名はまさにそれを体現したものとなっています。

「誰がつくり、どこでつくり、どこで売るのか。」

実はブランドストーリーを語るうえで、とても重要なことです。また事業を立ち上げて終わりでは無く、1年後、3年後、5年後どうやって成長していけるのか。1方通行の決められた道では無く、時代や状況に応じて柔軟に変化しながら成長していける余白創りも重要です。

まだ、始まったばかりのこの事業。地元の人々と一体となり、共創していく取り組みでもあります。
恐らく、自治体としては余り前例の無い取り組みかと思います。
これから本事業がどのように変化し、成長していくのか、ワクワクが止まりません。

機会がありましたら、開発過程の話題も今後のブログでお伝えしていくかも知れません。
是非楽しみにしていてください。

|青森県つがる市の新しいスイーツブランド|
農家の刺客
Nouka-no-Shikaku
https://nouka-shikaku.com/

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