回るチーム、止まるチーム2025.7.23 株式会社クリエイティブアローズ 古川 智一

プロジェクトの在り方を見直すと、利益もモチベーションも変わる

私たちの仕事は、案件ごとにプロジェクトチームを編成し、クライアントの事業やプロダクトの成長を支援することです。
営業やPM(プロジェクトマネージャー)がハブとなり、デザイナー、コピーライター、エンジニアなど、社内外のメンバーと横断的に連携しながら進行していきます。

その中で私が強く感じているのが、日々の業務の中に潜む“小さな綻び”です。ほんのわずかなすれ違いが、チームの温度やモチベーション、そして成果そのものに影響を与えている。
今回は、そうした綻びと向き合いながら、私が実践していることについてお話したいと思います。

 

「とりあえず、お願い」が招く、プロジェクトの弱体化

プロジェクトを進める際によくあるのが「とりあえず仕事を振っておいて、分からなければ聞いて」という形式的なやりとりだけで済ませてしまうケース。
これは一見合理的ですが、受け手にとっては“背景が見えない仕事”となり、思考停止のまま作業を進めてしまうリスクがあります。

私自身も以前は「聞いてくれればいい」と思っていましたが、それでは期待するアウトプットにはなかなか届きません。むしろ、チームとしての思考・推進力を鈍らせてしまうのです。

だからこそ今は、依頼前の「意図の共有」にこそ力を入れています。

✓なぜこの人に任せたいのか
✓どこまでをゴールと考えているのか
✓どんな視点や気配りを期待しているのか

こうした“前提の会話”を丁寧に行うことで、受け手の理解も深まり、プロジェクト全体の精度が確実に変わってきます。

 

キャスティングは、プロジェクト成功の“設計図”

もう一つ、私たちが軽視しがちな領域が「キャスティング」です。

プロジェクトの構成を考えるとき、スキルや稼働状況だけで人選するのではなく、「なぜこの人なのか?」を明確にする。ここを曖昧にしてしまうと、本人のモチベーションも上がらず、チームの推進力も弱くなります。

ある外資系コンサル企業では、プロジェクトアサイン時に“ジョブディスクリプション”と“期待役割”を必ずセットで提示**する運用が徹底されています。
「このプロジェクトにおいて、あなたにどういう成果を期待しているか」を最初に伝えることで、自律性と当事者意識を高める仕掛けです。

私たちの現場でも、「お願いする理由」と「期待していること」を、口頭やドキュメントで明確にする運用を行うようチャレンジしています。
小さなひと手間と思うのですがそれを当たり前にし成果と信頼に繋がっていくことを狙っています。

 

この課題は、プロジェクトだけでなく「会社全体」にも通じている

ここまでプロジェクトチームの話をしてきましたが、実はこれは「プロジェクトだけの話」ではありません。
先日執筆した“ミドル層の背中が、チームの未来を変える”のブログでも触れましたが、伝え方一つで、育成も組織も大きく変わると実感しています。

たとえば、若手メンバーに仕事を教える場面でも、

・なぜその業務を任せるのか
・どんな期待を持っているのか
・どういう姿勢を求めているのか

こうした言語化と共有がなされていないと、若手は「指示されたからやる」に留まり、成長機会になりません。
これは、実はプロジェクトも組織も同じ構造なのです。

「なぜ、今あなたにお願いしたのか?」という“期待と意味づけ”の伝え方が、ミドルから若手へのレクチャーでも、
プロジェクトの依頼でも、大きな差を生みだすと感じています。

 

モチベーションと利益をつなぐ「QCD」の改善とは

プロジェクト型ビジネスの中で、モチベーションと利益率は切っても切り離せないテーマです。
私自身が重視しているのは、「QCD(Quality・Cost・Delivery)」の意識を全員で共有すること。
単に利益だけを追うのではなく、以下のような視点を持つことで、継続的な改善が生まれます。

・Quality(品質):要件を満たすだけでなく、+αの提案ができているか
・Cost(原価):人件費だけでなく、非効率な稼働や確認作業の多さなど“見えない原価”を抑えられているか
・Delivery(納期):計画段階で見通しを立て、スピード感を持って進行できているか

 

QCD改善には「ツール導入」と「初動の質」が鍵

PMの現場では、「依頼書を作る」「調べる」「整理する」といった準備工数が膨らみ、本質的な思考や対話の時間が奪われているケースがよくあります。

そこで、私たちはAIツールを前提にした業務設計を進めています。

・打合せ資料の素案をAIで作成
・過去案件の調査や参考資料の収集をAIに一任
・チームへの依頼メッセージの生成もテンプレ+AIで半自動化

これにより、PMスタッフがアイデアづくりやチームコミュニケーションに時間を割けるようになり、結果としてプロジェクト進行の“質”が底上げされました。
以前は1案件で手一杯だったメンバーも、2件・3件を同時に遂行できるようになっています。

 

“当たり前”を見直すことが、組織の利益と働きがいにつながる

プロジェクト進行を「作業」と捉えるか、「目的達成の挑戦」と捉えるかで、成果は大きく変わります。

✓意図や期待値を明確に伝える
✓キャスティング理由を言語化する
✓成長機会の“設計”を怠らない
✓AIなどの新しい力を取り入れ、余白を生む

これらはすべて、今や“当たり前”にすべき行動だと感じています。

私自身、売上と組織づくりを担う立場の中で、「成果と人の成長の両立」に向けて試行錯誤しています。
プロジェクト単位でも、組織全体でも、小さな工夫の積み重ねが未来を変えると信じています。

このブログが、読んでくださった方にとって
「うちのやり方、少し見直してみようか」
そんな小さな気づきになることを願っています。

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