勇気2025.10.22 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文

皆さん、こんにちは。
株式会社クリエイティブアローズ代表の乳井です。

今回はクリイエティブとは何なのか?企業活動における「戦略」と「戦術」をテーマに、その本質について私が考えていることに触れたいと思います。

 

デザインの国に欠けているもの

日本は「デザイン大国」と呼ばれています。
街を歩けば、美しく設計されたプロダクトや広告があふれています。
しかし、私がブランディングや事業戦略の現場で日々感じているのは、「デザインは多いのに、創造が少ない」ということです。

その理由は、多くの企業が「戦略(=WHY)」を持たず、「戦術(=HOWとWHAT)」だけを磨いていると感じているからです。

ロゴを整え、Webサイトを刷新し、SNSキャンペーンを打つ。
それらは一見、前向きな取り組みに見えます。
しかし、「なぜそれが必要なのか(WHY)」が明確でなければ、その行動は方向を失った“作業”にしかなりません。

目的と意志を欠いたデザインは、どんなに美しくても企業を動かす力にはなりません。
短期的な戦術の積み重ねだけでは、長期的な成長もブランドの深化も生まれにくいのです。

私たちクリエイティブアローズは、その状況を変え、確かな成長を支えるために存在しています。
私たちの信念は明確です。

「戦略で常識を塗り替え、デザインで世界を動かす。」

この言葉には、デザインを“見た目の表現”ではなく、
“WHYから始まる戦略思考の延長線上にある表現”として捉えるという意志が込められています。

 

戦略のない戦術は、地図のない旅と同じ

マーケティングの現場では、「戦略」と「戦術」が混同されることが少なくありません。
しかし、この2つの違いを明確に理解することこそが、企業成長の鍵だと私は考えています。

戦略(Strategy)=WHY:なぜそれをやるのか
戦術(Tactics)=HOW/WHAT:どうやって、何をやるのか

多くの企業が戦術に走りやすいのは、 “結果が見えやすいから”です。
広告のクリック率、フォロワー数、PV、コンバージョン。
それらは数値化できるため、安心感を与えます。

しかし、それらは“過去の成果”です。
未来を動かすのは、「なぜやるのか」という意志と仮説を持つ戦略のほうです。

戦略とは、地図を描く行為です。
地図がなければ、どれだけ精密な戦術を積み上げても、努力の総量が増えるほどに迷走してしまいます。

「なぜ自分たちはこの事業をやっているのか」
「なぜこの顧客に価値を届けたいのか」
「なぜ今、この挑戦をするのか」

この“WHY”を問い続けることこそ、戦略を考えるうえで最も重要な出発点なのです。

 

予定調和の海に沈む、アイデアの断片たち

私たちは、さまざまな企業の会議室で多くの意思決定に立ち会ってきました。
その中で痛感するのは、多くの会議が「予定調和」に支配されているということです。

「それは前例がないので難しいですね」
「上層部が好まないと思います」
「もう少し柔らかい表現にしましょう」

このような言葉の積み重ねが、挑戦の芽を摘んでいきます。

誰も悪気があるわけではありません。
むしろ組織として正しい判断をしていると言えるでしょう。
しかし、その「正しさ」が積み重なるほどに、組織は“安全志向の牢屋”に閉じ込められてしまいます。

アイデアは、秩序の中では育ちません。
不確実性と向き合う勇気を持ったときに、初めて「創造」は芽吹きます。
むしろ賛否両論あることの方が健全な状態なのです。

だからこそ、私たちはクライアントに対して、
あえて「予定調和を壊す提案」をします。
それは少し勇気のいる提言ですが、同時にクライアント想いの優しい行為だと考えています。

「なぜ(WHY)それが必要なのか?」
この問いを共有するところから、新しい創造が始まります。

 

戦略と戦術の“間”に生まれるもの

クリエイティブとは、戦略と戦術のどちらか一方ではなく、
それらを結びつけるものであり、包括するものでもあると私は考えています。

戦略だけでは理想論になり、戦術だけでは同質化の波に飲まれてしまいます。
両者をつなぐのは、「なぜ(WHY)」という意志であり、すべてはそこから始まります。

たとえば、ある企業のブランディングを支援したときのことです。
当初、経営陣は「SNSでバズる企画をやりたい」とおっしゃっていました。
しかし、深く話を聞いていくと、その企業が地域の高齢者雇用を守り、地場産業の商品を次世代に継承していることが見えてきました。

私たちは、SNSという戦術から離れ、
「なぜこの企業が地域に存在しているのか」というWHYを再定義しました。
つまり、「地域の誇りを未来につなぐ」という戦略に立ち返ったのです。

その結果、発信内容にも魂が宿り、SNSやメディアで自然に共感が広がりました。
結果として当初のKPIをはるかに超える成果を生みました。

戦略(WHY)を見直すことで、戦術(HOW・WHAT)の質は格段に上がります。
逆に言えば、WHYを欠いたHOWは“作業”で終わり、WHYに導かれたHOWは“創造”になります。

 

「気づき」を与えるということ

クリエイティブアローズの仕事は、単なるデザイン制作やコンサルティングではありません。
私たちの使命は、企業に“WHYという気づき”を届けることです。

戦略とは、未来の地図を描くこと。
そして気づきとは、その地図を“自分ごと”として見つめ直すことだと思います。

多くの企業が事業戦略を作り、スローガンを掲げます。
しかし、社員一人ひとりが「なぜこの仕事をしているのか」を理解しなければ、それはただの“言葉”で終わってしまいます。

私たちは、その“なぜ”引き出し、言語化する仕事をしています。
ビジュアルで、言葉で、空間で、体験で。
それが、戦略と戦術をひとつに結びつけるということなのです。

 

クリエイティブの本質

戦略とは「WHYを描く行為」、戦術とは「HOWとWHATを具現化する行為」。
そして、視座とは、その全体を俯瞰して考える力だと思います。

私たちはクライアントとの最初の打ち合わせで、必ずこう伺います。

「この取り組みはなぜ必要なのですか?」

売上を上げたいのか。
ブランドを成長させたいのか。
それとも、社会に新しい意味を生み出したいのか。

WHYが明確になれば、HOWもWHATも自然と定まります。
逆に、WHYが曖昧なままでは、どんなに優れた施策を重ねても、成果は一過性で終わってしまいます。

 

予定調和を超えた創造の海へ

もし今、あなたのプロジェクトが“順調なのに手応えがない”と感じているとしたら、
それは戦術の問題ではなく、WHY=戦略が見えていないからかもしれません。

今の延長線上に成長はありません。
しかし、今の延長の中に「気づきの種」は必ずあります。

その種を見つけ出し、育てることが私たちの仕事であり、企業の中に眠る「まだ見ぬWHY」を引き出すことこそ、私の使命だと感じています。

 

最後に

“予定調和”という言葉の裏には、安心と安全があります。
しかし、そこに留まり続ければ、創造は鈍化してしまいます。

戦略(WHY)と戦術(HOW・WHAT)のあいだに流れる微細な緊張感こそ、
クリエイティブの本質であり、企業の成長を動かすエネルギーです。

今こそ、私たちは「描かれた未来」をなぞるのではなく、「なぜこの未来をつくるのか」という問いから出発し、自分たちの手で未来をデザインしていくべきだと思います。

常識を塗り替えるのは、いつだって“WHY”へ向き合うことから始まります。

 

株式会社クリエイティブアローズ
代表取締役 乳井 俊文

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