ファン2026.2.12 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文
皆さん、こんにちは。
株式会社クリエイティブアローズ代表の乳井です。
暦の上では立春を過ぎ、少しずつ日差しの中に春の気配を感じられる季節になってきました。とはいえ、まだまだ空気は冷たく、足元を固めながら次の季節を待つ、そんな時期でもあります。
企業経営においても、今はまさに「次の成長の芽」をどう育てるかが問われる局面です。今日は、そのヒントとして 「ブランドファン育成の重要性」 について書いてみたいと思います。
広告だけでは、盤石な売上基盤はつくれない時代
AIの進化により、広告運用は高度に自動化され、メディアもSNS、動画、EC、コミュニティと無数に分岐しました。一方で「それっぽい広告」「それっぽいコピー」「それっぽいレポート」も急増しています。
広告は今も重要です。ただし、広告“だけ”に依存した成長モデルは、明らかに不安定になっています。
・競合はすぐに真似ができる
・差別化は一瞬で薄まる
・価格や条件で簡単に乗り換えられる
そんな環境で企業を支えるのは、合理ではなく感情で選ばれる関係性です。
LTVとは、「関係性の深さ」を測る指標
LTV(顧客生涯価値)という言葉は、数字として語られることが多い概念ですが、本質はもっとシンプルです。
・どれだけ長く付き合ってもらえるか
・どれだけ信頼されているか
・どれだけ応援してもらえているか
これらはすべて、人と人との関係性の延長線上にあります。
その関係性を一気に深める手段として、私たちが数多く関わってきたのが「ファンミーティング」です。少しだけ事例を交えてお伝えしたいと思います。
事例①|工場という“聖域”をひらいたファンミーティング
ある大手菓子メーカーでは、全国の製造拠点にファンを招待するファンミーティングを実施しました。
普段、消費者が目にすることのない工場。そこは企業にとっても、いわば“裏側”であり“聖域”です。
・商品がどんな工程でつくられているのか
・どんな人が、どんな想いで関わっているのか
・なぜこの品質を守り続けているのか
それを、社員自身の言葉で語る場を設けました。
すると、ファンからは驚くほど率直な質問や感想が飛び交います。
「ここまで考えてつくられているとは思わなかった」
「今日から、食べ方が変わりそうです」
一方、社員側にも変化が起きました。
・自分たちの仕事が、誰かの生活の一部になっている実感
・アンケートや数字ではなく、顔のある顧客との接点
・現場にプライドが生まれる
顧客理解と社員のモチベーションが、同時に立ち上がる。これこそが、ファンミーティングの本質的な価値です。
事例②|親子の時間に、ブランドがそっと寄り添う
別の大手菓子メーカーでは、「お菓子を食べる子ども」と「それを選ぶ親」という関係性に着目しました。
企画したのは、親子参加型のファンミーティング。
・親子で身体を動かすアクティビティ
・協力しなければクリアできない設計
・その様子をプロのカメラマンが撮影
なぜ、親子で共創するのか?!
それは、親と子の絆が深まる瞬間に、メーカーが介在することで、その時間そのものがブランド体験になるからです。
後日、編集された映像が参加者のもとに届きます。真剣な表情で挑戦する子ども。それを見守る親。
「こんな顔、普段はなかなか見られないんです」そう語る親御さんの声は、どんなアンケートよりも意味のあることでした。
この体験を通じて、ブランドは「商品」から「家族の思い出の一部」へと変わっていきました。
事例③|ファンを「共創者」に変える体験設計
もう一つ、象徴的だったのは、新商品開発の一部をファンとともに進めたケースです。
・試作品の試食会
・ネーミングやコンセプトへの意見募集
・パッケージ案の投票
重要なのは、完成品を見せることではなく、途中の思考プロセスを共有すること。ファンは「買う人」ではなく、「一緒に考えた共創者」になります。
結果として、
・発売を誰よりも楽しみにする
・自発的に語り、拡散してくれる
・失敗すらも物語として受け止めてくれる
LTVが自然に伸びていく構造が生まれました。
周年イベントは、企業の“関係資産”を可視化する場
この考え方は、企業の周年イベントにもそのまま応用できます。顧客、取引先、パートナー、社員、そして家族。企業を支えてきた人たちを一堂に招き、
「ここまで、一緒に歩んでくれてありがとうございます」を直接伝える。
BtoB企業であっても、モノやサービスの裏側には、必ず人がいます。
感謝と未来を共有する場は、数字には表れにくい「関係資産」を確実に積み上げていきます。
人とのつながりが、企業の背骨になる
効率、最短距離、最適化。それらが求められる時代だからこそ、あえて時間をかけて、人と向き合う。顔を見て、声を聞き、同じ空気を共有する。その積み重ねが、ブランドに「体温」を与えます。
売上は、結果です。ファンは、関係性の証です。
企業を長く、強くするために。いま一度、「人とのつながり」を起点にした体験づくりを考えてみてはいかがでしょうか。
ファンミーティングや周年イベントは、その最初の一歩になるはずです。
株式会社クリエイティブアローズ
代表取締役 乳井 俊文