幕開け2026.1.15 株式会社クリエイティブアローズ 乳井 俊文

新年あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。

前回のブログで、2025年を「幕間」と位置づけました。AIが急速に浸透し、技術も情報も一気に平準化した一年。同時に、私たちは“つくること”や“対応すること”が目的化してしまう危うさも、はっきりと目の当たりにしました。

そして2026年。
いよいよ「幕開け」です。

この幕開けは、AI時代の到来を祝うファンファーレではありません。むしろ、AIが当たり前になったからこそ、事業が本来向き合うべき問いへ立ち返る始まりだと感じています。

 

AIが当たり前になった世界で起きていること

AIは、もはや差別化要因ではありません。資料作成、広告コピー、画像生成、広告運用、分析レポート。「できるかどうか」ではなく、「使われていて当然」のテクノロジーです。

今、多くの現場でこんな現象が起きています。

・KPIが細分化されすぎ、成果との因果が見えない
・効率指標ばかりが増え、目的が薄れていく
・最短距離で成果を出す手法が、驚くほど早く陳腐化する

AIは創造性を助け、効率を最大化します。しかし同時に、「何のためにそれをやるのか」という問いを、これまで以上に厳しく突きつけてきます。

だから今、事業活動は再びこの一点に収束し始めています。
「この事業は、どのような社会課題を解決し、誰に、どんな価値を届けるのか。」

 

リテールの現場が示す「本質回帰」

この変化を、最も分かりやすく体現しているのがリテール領域です。

たとえば Amazon。同社は、広告・在庫・物流・販促・CRMを完全に一体化し、「購買」を起点とした独自のエコシステムを築いています。

ここでは、

「広告=認知を広げるもの」

ではありません。

「広告=売上を生む行為そのもの」です。

Amazon広告の場合、
・Share of Shelf(陳列率)
・カート獲得率

にダイレクトにアプローチでき、販売に直結するところが強みです。
つまり、どれだけ露出したかではなく、「選ばれたかどうか」。

この考え方は、ECに限らず、今後あらゆる事業に広がっていくと考えています。

 

リテールメディアとCRMの再定義

リテールメディアの進化も象徴的です。
キーワードは、「属性データ」と「購買データ」です。

年齢や性別、居住地、家族構成、世帯年収・・・といった属性データだけではなく、実際に何を買ったかという事実を軸に、広告・販促・CRMが接続されていきます。

これはつまり、

・広告
・販促
・営業
・顧客体験

が、分断された役割ではなく、一つの意思決定プロセスとして再設計されるということです。「部門最適」の時代は、終わりつつあります。

 

デザインは「手を動かす仕事」から「意思決定の仕事」へ

ここで、デザインの話をしましょう。広告制作は、すでにAI素材前提の世界に移行しました。従来のように、

・企画 → 撮影 → 編集

という直線型フローは崩れつつあります。

これからは、

・人がコンセプトとメッセージを定義する
     ↓
・AIが大量の素材を生成する
     ↓
・人が「何を使い、何を捨てるか」を決める

というプロセスに移行すると推測しています。

たとえば Netflix。
同社は、ユーザーごとに異なるサムネイル画像をAIで生成・出し分けしています。しかし、「どんな感情を喚起するのか」「何を象徴させるのか」という軸は、人が設計しています。

もう一つ、Nikeのケース。
無数のビジュアルやコピーが生成できる環境にあっても、最終的に選ばれるのは、ブランドの思想と一貫したものだけです。

ここで価値を持つのは、技量ではありません。意思決定です。

・何を語るのか
・何を語らないのか
・どの表現がブランドの未来に資するのか

デザインは、「つくる仕事」から思考し、意思決定する仕事へと役割が変わっていきます。

 

デジタルマーケティングの終着点

広告運用も同様です。リスティング広告やSNS広告は、すでにAIによる自動運転が前提です。運用人数を増やしても成果は比例しません。差が出るのは、

・設定の巧みさ
・テクニック

ではなく、
そもそも「何を伝えるべきかというブランドの意味設計」です。

 

SNSは「大量UGC時代」へ

SNSもまた、質的に変わりました。もはや配信メディアではありません。AIによって、投稿・コメント・文脈が大量に複製・変形され続ける「場」です。

この世界で最大の競争要因は、ブランドが「語られる理由」を持っているかどうかです。語られる意味を定義しなければ、UGCの海に埋もれ、存在感は薄れていきます。

強いブランドとは、「語られる理由」を内包したブランドです。その理由こそが、UGCを自己増殖させる文脈の核になります。

 

価値は、再び「メッセージ」へ

ここまでの事例が示す結論は明確です。価値は、「メッセージをどう設計するか」へと回帰している。AIは無限に素材を生み出します。しかし、意味は生み出しません。

・ブランド思想を言語化する
・何を象徴する存在かを定義する
・何を選び、何を排除するかを決める

この役割を担うのが、私たちが重視するメッセージアーキテクトです。

 

私たちの幕開け

2026年、私たちは営業・企画・デザインを分断された機能ではなく、一つの価値創造プロセスとして強固に統合していきます。

各チームがより一体となり、全体を俯瞰し、意思決定できる人材を、次の時代のエリート社員として好待遇で迎え入れていく。

AI時代だからこそ、人にしかできない仕事があります。それは、意味を決め、未来を明るいものにすること。

幕は、開きました。
この一年が、皆さんの事業にとっても「本質へ立ち返る一年」になることを願っています。

今年も、共に考え、共に創っていきましょう。

株式会社クリエイティブアローズ
代表取締役 乳井 俊文

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