変化に強いチームをつくる3つの実践2025.11.12 株式会社クリエイティブアローズ 古川 智一
皆さま、こんにちは。SHIPアソシエイトパートナー、株式会社クリエイティブアローズの古川です。
ビジネス環境の変化は、年々スピードを増しています。
クライアントが抱える課題も、毎月、毎年変化していきます。
昨日までの成功体験が、今日の正解ではなくなる。そんな時代の中で、私たちも“変化に対応できるチーム”であることが求められています。
今回は、私自身がクライアントワークやプロジェクトの現場で感じたこと、そして実際に行っている取り組みについてお伝えします。
プロジェクトは「変化への対応力」で決まる
私たちが携わるプロジェクトの多くは、複数名、時に数十名が関わるチームで進行します。
クライアントの課題に寄り添い、解決まで導くためには、個人のスキルや経験だけではなく、
チームとして“変化に対応する力”が欠かせません。
私はこれまで多くのプロジェクトを経験する中で、課題解決がスムーズに進むチームには共通点があると感じています。
それは「先導力」と「覚悟」。
状況が変わっても、クライアントと真正面から向き合い、チームを導くリーダーの存在が成果を左右します。
変化に対応できるチームづくりの3つの実践
ここからは、私自身がプロジェクトの中で意識している3つの取り組みを紹介します。
・ クライアントを深く知る
まず重要なのは、クライアントの“今”を正確に理解することです。
そのために私は、3C分析(自社・競合・市場)やSTP分析をベースにするなど、
クライアントの事業構造・市場変化・ターゲット心理を再整理しています。
このプロセスを怠ると、過去の成功事例に引っ張られた「なんとなくの提案」になってしまいます。
特に長く取引のあるクライアントほど、“慣れ”による盲点が生まれやすいです。
例えば、クライアントの変化スピードを見誤ったケースです。
以前の成功事例に基づいた“安全な提案”を出した結果、市場の変化に合わず、反応が鈍いまま終わってしまった。
その時に痛感しました。
過去の成功体験ほど、変化を見誤らせるものはない。
「今の市場・今の顧客・今の競合」を言語化することを欠かさないようにしています。
これは派手な改善ではありませんが、結果的に提案の“鮮度”を保つ一番の近道でした。
・ プロジェクトチームの最適化とリスペクト
プロジェクトは多様な専門家によって支えられています。
デザイナー、プランナー、メディア担当、エンジニアなど、それぞれの専門領域に対するリスペクトを持ちながら、
役割を明確にすることが重要です。
私もまだまだチャレンジ中ではありますが進行中の会議では「不明点や不安を言葉に出せる空気づくり」を意識しています。
情報の分断が起きると、プロジェクト全体の推進力が一気に落ちるからです。
チームメンバーが“迷わず動ける”状態を作ることが、リーダーの重要な役割だと感じています。
・ WBSでゴールと道筋を共有する
変化の多いプロジェクトでは、目的地(ゴール)を共有しても、進むルートがぶれやすい。
だからこそ、WBS(Work Breakdown Structure)で明確なロードマップを作るようにしています。
タスクや担当を整理するだけでなく、
「なぜこの順番で進めるのか」「この成果物がどのKPIに結びつくのか」を可視化する。
これにより、クライアントにもチームにも“共通の地図”が生まれ、変化が起きても迅速に軌道修正できる体制になります。
手法よりも「根幹設計」を
課題解決の手法やツールは数多く存在します。
フレームワーク、広告運用、データ分析──どれも有効です。
しかし、それらを効果的に機能させるためには、まず根幹の設計が必要です。
クライアントの目的をどこに設定するのか。
どんな価値を提供し、どんな変化を生み出すのか。
そこを見誤ると、手法は“点”で終わり、“線”になりません。
「どの手段を選ぶか」よりも、「どんな思想で組み立てるか」。
その根幹をデザインできるチームこそ、変化に強いチームだと感じています。
変化を支えるのは「俯瞰力」
どんなに緻密な計画を立てても、プロジェクトは想定外の出来事が起きるものです。
重要なのは、そのたびに立ち止まり、チーム全体を俯瞰して見直す時間を意識的に持つこと。
私自身、これまで何度も「進んでいるのに進んでいない」状態を経験してきました。
その原因の多くは、初動のズレや情報の断絶、そして変化への鈍化です。
正直なところ、私もまだ十分にできているわけではありません。
プロジェクトが走り出すと、目の前の進行に追われ、
全体を見渡す時間を後回しにしてしまうことも少なくありません。
だからこそ、今は意識的に“俯瞰する時間”をつくることにチャレンジしています。
先導役として、私一人で考えるのではなく、
各セクションリーダーやメンバーと一緒に「何が滞っているのか」「どこでズレが起きているのか」を整理し、
プロジェクトレビューの仕組みを少しずつ整えている最中です。
まだ試行錯誤の段階ですが、
俯瞰して振り返ることでチームの思考がそろい、変化に対する柔軟性が少しずつ育っている実感があります。
俯瞰力は、リーダー一人が持つスキルではなく、チーム全体で鍛えていく習慣。
その習慣を定着させることが、いま私が取り組んでいるチャレンジです。
まだ途上の挑戦として
変化への対応力は、一朝一夕では身につきません。
しかし、日々のプロジェクトの中で
「情報を共有し」「課題の本質を見極め」「チーム全体で考える」
その積み重ねこそが、変化に強いチームを育てます。
どんなにスキルが高くても、どんなに優れた戦略を描いても、
変化に適応できなければ、成長は止まる。
逆に、変化を受け入れ、挑み、更新し続けるチームや会社は、必ず強くなる。
私自身、まだその途中です。
けれども、変化を恐れず向き合うこと――
それこそが、次の成長を生むチームづくりの第一歩だと信じています。